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放射線専攻Q&A

例年のオープンキャンパスの相談コーナーでよくされる質問、
今年実際に高校生に取ったアンケートでの質問を放射線専攻の学生が答えます!

 

2020年度 オープンキャンパス 学生が答えるQ&A

Q. 放射線技術科学専攻とはどんな専攻なのですか?

A. 建学以来「研究第一」と「門戸開放」という理念を掲げる東北大学の一員として、「豊かな人間性と高度な専門知識・実践力を備え、世界の人類に貢献しうる診療放射線技師の育成」を目標とした専攻です。具体的には医学(人体の構造など)、理学(放射線について、電気磁気についてなど)、工学(機器の構造や特性など)それぞれの知識を総合的に学ぶ融合的学問領域に位置する専攻です。

Q. 放射線技術科学専攻ではどんな授業を受けることができるのですか?

A. 1年次には英語や数学・情報基礎など、主としてこれから大学で学ぶための深い素養を身につけるための教養科目を学びます。同時に、解剖学や放射線物理学など、放射線技術科学領域での学びの基盤となるような専門科目も一部学びます。2年次からはより専門科目の比重が高まり、臨床撮影技術学など診療放射線技術特有の科目を学ぶことが多くなります。2年次の秋には実際に放射線を使う学内実験も始まります。3年次からは毎日の講義は専門科目のみとなります。秋にはウェアセレモニーを経て、仙台市内の関連病院で病院実習が始まります。4年次からの卒業研究に向け、大学院の研究室に配属されるのもこの頃です。4年次は春から夏にかけて病院実習、これと並行してクリスマスぐらいまで卒業研究が行われます。大学での4年間の集大成として卒業論文をまとめ、2月には診療放射線技師国家試験を受験します。国家試験を受験できる資格が得られる学科ということで、カリキュラムは濃密です。

Q. 一人暮らしは大変ですか?

A. 人によるとは思いますが、実家で生活するのに比べ、自分でしなければならないこと、やることが確実に増えます。掃除洗濯を自分でやらなければいけないのはもちろんですが、毎日の食事も特に大変です。親のありがたみを痛感する瞬間です。学業で日々充実している中、自炊等家事をするのはなかなか大変で、続けられる人ももちろんいますが、これを書いている私はスーパーのお総菜などで済ませてしまうことも多いです。入学当初、学校から遠距離にある実家から通う人も少なくないです。しかし、3年次になって病院実習が始まると、通学の大変さから下宿・一人暮らしに切替える人もでてきます。そういう意味でも、キャンパスの近くに一人で住むというのは、結構大変ではありますが、メリットも多くあるように感じます。

Q. 川内キャンパスと星陵キャンパスの違いはなんですか?

A. 川内キャンパスは1、2年次に学ぶ全学教育科目(英語や数学などの教養科目)の授業、教養科目の受講で使います。川内では他学部の学生も同じキャンパス内で講義を受けていますので、医学部以外の人との交流が生まれます。学部に関わらず、全学を横断的にした全学サークルも川内に拠点があります。星陵キャンパスは、川内キャンパスからは離れ、仙台市中心にほど近い市街地にあります。キャンパス内には東北大学病院が立地し、医学部の校舎群と相まって、東北における一大医療拠点となっています。星陵キャンパスでは、医学に特化した専門科目、放射線技術科学専攻特有の科目(放射線物理学など)を学びます。2年生からはほとんど星陵キャンパスで生活することになりますので、一人暮らしを始める人はその近くに住むことが多いです。

Q. 卒業後の進路はどうなっていますか?

A. 直近の卒業生の進路内訳はこのグラフ(令和元年3月)のようになっています。東北大学は研究第一主義を理念に掲げている指定国立大学の一つです。指定国立大学は、東北大学、東京大学、京都大学の3大学です。東北大学医学部の放射線技術科学専攻では年々大学院への進学率が高まっており、現在、卒業生の約半数が大学院に進学します。最先端の診療放射線技術を世界に発信するため、学部生の頃からの継続的に研究に取り組む人が多いです。研究室には病院で働きながら通う社会人院生も多く、そういう日々研鑽の場に身を置けるという事はとても大きいです。
もちろん、診療放射線技師として病院に就職し、社会のため患者さんのために臨床の現場で頑張る人、放射線診療機器を扱う企業に就職し、専門家の視点で機器開発に貢献する人も半数におよびます。診療放射線技師免許という国家資格を手に入れるチャンスがあるということで、その資格を生かしたいろいろな進路が考えられます。

Q. 専攻内の学生の人数とその男女比はどうなっていますか?

A. 放射線技術科学専攻は一学年35人前後で、男女比は概ね5:5になっています。診療放射線技師というと男性のイメージがあるかもしれません。歴史的にはそういう時代もあったようです。しかし、近年においてそういうことは全くありません。マンモグラフィー検診等、女性の診療放射線技師によるオペレーションは大変重要で社会の要請も大きいです。理系の学部としては女性の比率が多いのが特徴かもしれません。また、他の学部よりも専攻内の人数が少なく、先生方との距離感もとても近いのが特徴です。高校のクラスのように友人が出来やすい環境だと思います。

Q. 生物専攻で受験するのですが、高校の物理の知識は必要ですか?

A. 物理について苦手よりは得意な方が有利に感じる科目は多いです。しかし、物理が苦手であっても講義で基礎から丁寧に説明してくださるため、過度に恐れる必要はないと思います。逆に生体機能学など、生物の知識が活きる科目も存在します。バランスよく知識を得ることが大切です。

Q. テストは大変ですか?

A. 将来医療に携わるうえで必要な知識を学んでいるわけですので、当然簡単ではありません。油断をすると赤点、つまり不合格になってしまう事もあります。東北大学医学部ではチューター制を採用しており、放射線技術科学専攻では生徒数名に先生が一人の割合でついてくれます。チューターの先生は勉強から日常生活も含めて相談にのってくれます。でも勉強するのは自分ですからね。
無事全ての科目に合格(大学では単位をとると言います)し、放射線技術科学専攻を卒業すると、診療放射線技師国家試験を受験する資格が得られます。大学での4年間の勉強が、国家試験の受験資格に直結するため、他の学部より目標設定がしやすく、皆必死にテストを頑張るということはあると思います。

Q. 診療放射線技師として働くうえで被ばくの心配はありますか?

A. 検査をオペレーションする診療放射線技師が、診療業務において被ばくすることはほとんどありません。X線透視を伴う検査やPET検査など、検査によっては診療放射線技師が多少の被ばくをすることはあります。しかし、診療放射線技師が業務中にどれだけ被ばくしたかは、個人の生涯にわたり個別に測定管理されています。これは法令で厳密に定められており、限度を超えて業務に従事するという事は絶対に許されません。女性でも安心して働くことができます。

Q. コンピュータ技術の進歩により医療にも人工知能(AI)が活用されていますが、AIに仕事をとられてしまう可能性はありますか?

A. 人の仕事が完全にAIに置き換わってしまうことはないと考えられています。AIは人の仕事のサポート・支援に活用し効率化することが主目的で、人間が行う仕事・行為の全てを代替えさせることが目的ではありません。現在でも既にAIは導入されており、検査の効率化がなされています。この傾向は今後続くと思います。

Q.ほかの医療系職種とはどのように関わりますか?

A. 現代の医療は、チーム医療という言葉のとおり、診療は様々な職種が連携して行われます。例えば心臓の造影エックス線検査を例にとると、診療放射線技師が患者さんに放射線を照射し検査を行いますが、検査のための造影剤という薬は、医師が患者さんの足から刺入し心臓まで入れた管から注入されます。その傍ら、看護師は患者さんの傍らで血圧や体温・呼吸状態などをチェックしています。心電図を監視するために臨床検査技師の立会が必要かもしれません。機材が正常に動作するか臨床工学士の立会もあるでしょう。検査を行うためには調整役のケアマネージャーが必要だったかもしれません。医療は他の医療系職種の方々とのチームで成り立っています。