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放射線技師のお仕事

実際に放射線技師はどんなお仕事をしているのか紹介します。
臨床に近い画像で迫力のあるものになっています。

~放射線技師のお仕事~

はじめに…
放射線技師は、人体に放射線を照射することを業としています。
人体へ放射線を照射することが許可されているのは医師・歯科医師・放射線技師の
3職種のみです。病気の治療に欠かせない放射線を扱うスペシャリストであり、
仕事内容は目的に応じて「画像診断検査」「核医学検査」「放射線治療」の3つに分けられます。
ここでは、放射線技師の仕事内容をさらに詳しく説明していきます。

画像診断検査
1. 一般撮影
一般撮影とは?
一般撮影は放射線技師が行うエックス線検査の中でも、最も一般的に行われる検査で、誰もが一度は受けたことのある検査だと思います。学校や職場などに検診車と言われるバスがきて、「息を吸って止めてください」というアレです。俗にレントゲンと言われることもあります。特殊な装置を必要とせず、時間もあまりかけずに全身の検索が可能です。病院を訪れると、まず最初に医師から指示されることが多い検査の一つです。
胸部や腹部、頭部、四肢、乳房、歯などを薬剤を使わず検査するため、患者さんの身体的負担が少ない検査です。

2. CT検査
CT検査とは?
CTとはComputed Tomographyの略で、コンピュータを用いた断層撮影のことです。
断層撮影といっても撮影されるのは体の輪切り像です。CT装置の外観はドーナツ型をしており、患者さんは寝台にあおむけに寝て、このドーナツの中に入って検査をします。
ドーナツに平行な断面が撮影されます。
このドーナツの中には、エックス線管とエックス線検出器が人体を挟んで180°向かい合う位置に置かれており、人体を中心に高速でぐるぐる回転するようにできています。一秒間に一回転、速いものでは3回転するものもあります。このように高速に回転しながらX線を照射し、得られた膨大な量の透過X線データから、計算によって断面像を算出します。
現代のCTは、短時間のうちに、頭の先からつま先まで、全身を数ミリの厚さで何百枚もスライスすることができます。この何百枚ものスライスを、コンピュータで積み木のように積み上げる計算をすると、コンピュータの中に3Dの人体が構築できます。これがCTによる3D診断画像です。3D画像は、病変の立体的な広がりが把握でき、現代の医療になくてはならないものになっています。
この高速に全身のデータを収集する方法、ヘリカルスキャンを考案したのは、ここ東北大学医学部保健学科の先生(現在名誉教授)なんですよ。

3. MRI検査
MRI検査とは?
MRIとは、Magnetic Resonance Imaging(磁気共鳴画像)の略で、強力な磁石でできた装置を用いて体の内部を画像化する検査です。
MRIは主に水素の原子核、プロトンに注目します。人体のおよそ70~80%は水H2Oですから、人体には大量の水素、つまりプロトンが含まれており、これを利用して画像化するということです。放射線は用いないため、放射線被ばくはありません。
超電導技術を用いた磁石が用いて、強力で均一な磁場が発生するため、検査室内に金属のものは持ち込めません。
検査は長時間を要することが多いです。
機械は奥行きのあるCT装置といった感じで、ドーナツの穴が長いトンネルのようになっています。この穴の中に入って検査を行うため、狭いところが苦手な方は検査が難しくなります。検査中はこんこんこんと、何かをたたくような非常に大きい音が発生します。

4. 血管撮影
血管撮影とは?
血管撮影とは、カテーテルと呼ばれる細管を足や腕、首の血管から入れ、造影剤という薬を使って行う検査です。X線透視と撮影が頻繁に繰り返され、被ばくの多い検査の一つです。
造影剤を注入する前の画像を、造影剤注入後の画像から差し引くと、臓器や骨が消去され、この写真のように血管だけの画像が得られます。
血管撮影は、このような血管の映像を得るのみならず、カテーテルを介してカテーテル先端まで、治療用の薬剤や、治療用の小さな器具・器材をデリバリーすることができます。この方法で、造影検査をしながら同時に血管の閉塞部を拡張したり、塞いだりといった手術的手技が行えます。これをインターベンションといい、現在は血管造影といえばむしろこのインターベンショナルラジオロジーが周流となっています。
診療放射線技師と医師・看護師などの連携が特に重要となる検査です。

核医学検査
核医学検査とは?
核医学検査とは、臓器の生理的機能を調べるために行われる検査です。
放射性同位元素で標識した薬剤を体内に投与し、薬剤から放出される放射線を専用の装置で
検出することで薬剤の分布を画像化します。エックス線検査と違うところは、エックス線は体の外から照射しますが、核医学は体の中から発する放射線を検出するところにあります。
投与された薬剤の分布や集積を見るだけでなく、経時的な変化を追うことで臓器の機能や
代謝を評価することができます。
診療放射線技師は、機器のオペレーションのみならず、放射性同位元素の管理なども行います。
近年は陽電子といわれる特殊な電子を放出する放射性同位元素を作るため、サイクロトロンといわれる加速器を運転することもあります。

放射線治療
放射線治療とは?
放射線治療は、主に癌に対して行う治療方法の1つです。
診断用とは比べ物にならないほどエネルギーの高い放射線を用い、癌にピンポイントであてることで癌細胞に傷をつけ、縮小させていきます。
放射線治療では主に加速器を用いて放射線を発生させます。エックス線や電子線、近年は粒子線や中性子線を用いる場合もあります。場合によってはセシウムなどの放射性同位元素が放射する放射線を用いる場合もあります。
放射線技師は、このようなエネルギーの高い放射線を、目的部位、つまり癌の部分だけに照射し、それ以外の部分には照射しないよう、患者さんの位置や体位を常に監視します。